実戦のラウンドで「毎回同じ距離」を打つ場面はほとんどありません。風、ライ、狙いどころ、プレッシャー——
すべてが一打一打を変化させます。だからこそ練習場でも、ターゲットを毎回変える=ランダム距離練習が有効です。
距離と番手が固定された打ち込みから卒業し、状況対応力と判断力を高めるメニューに切り替えましょう。飽きずに継続できる点も大きな魅力です。
なぜ「ランダム距離」なのか
- 判断のスピードが上がる:残り距離→番手→弾道→狙いの意思決定が早くなる。
- 距離感の基準が増える:“100・120・140”など固定点だけでなく、中間距離の再現性が上がる。
- 実戦のリズムに近い:同じ番手を連続しないため、ルーティン・構え直しの精度が向上。
準備:ターゲット表と「疑似ホール」設定
練習場にあるフラッグ/ネット/ポールを一覧化して距離表を作成。スマホのメモに
「80/95/110/125/135/150/170…」のように登録しておき、毎球ここから選びます。
可能なら「パー4:Tee→145y→45y→8mパット」など、疑似ホールのストーリーも添えると効果倍増。
コアドリル①:ダイス&カード法(20球/約20分)
- 距離表から6〜8個のターゲットを選び、番号を振る。
- サイコロ(スマホアプリでOK)を振って、出た番号の距離を即決・即構えで打つ。
- キャリー/方向/高さの達成度を「◎○△」で簡記。番手は自由だが、ショートしがちなら1番手上げるなど規律も持つ。
ポイント:打つ前に「キャリー◯yd・ドロー小」で口に出して宣言→実行→結果比較。この“宣言と結果の一致度”が距離感の指標になります。
コアドリル②:ラダー(はしご)法(18球/約15分)
- 80→95→110→125→140→155…と15y刻みで6ステップを設定。
- 各距離1球のみ。次距離へ進む前に、ショート/オーバー幅を記録。
- 後半は逆順(降りラダー:155→…→80)で実施。上りと下りで番手選択の違いを体感。
発展ドリル:時間・球筋・高さを縛る
- 30秒ショットクロック:残り時間を意識しながら距離→番手→球筋(F/D)を即決。プレーのテンポ向上に。
- 球筋指定:「フェードのみで全距離」「低弾道オンリーで全距離」など、打ち出し角とスピンを管理。
- 安全サイド縛り:ピン位置を仮定し、常にグリーン中央 or ピンの広い側へ。スコアは狙い方で作る感覚を擦り込む。
番手選択の考え方:±5〜8ヤードのバッファ
実戦では“完璧な番手”は滅多に来ません。
原則:風・ミスの傾向・安全サイドを加味し、ショート目はNG(手前に深いバンカーなどを想定)なら1番手上げ、奥が死んでいるなら1番手下げ。
さらにランダム距離練習では「キャリーだけでなくトータル」を宣言して打つと、転がり込みの距離感が養われます。
自己採点のしかた:3指標×10点
- キャリー距離(10):±5y=8点、±3y=9点、±2y以内=10点。
- 方向(10):左右±5y=8点、±3y=9点、±2y以内=10点。
- 弾道(10):宣言どおりの高さ・球筋で8〜10点。合計30点、20点以上を合格ラインに。
飽きずに続ける仕掛け:ゲーム化のアイデア
- “3連続◎チャレンジ”:距離違いで◎を3つ並べたらボーナス。
- “パー5シミュレーション”:240→165→85→12m(代替パット)など、距離を連結してスコア化。
- “外したら即クラブ交代”:外れたらウェッジ→アイアン→UT…とローテ。判断と対応を鍛える。
動画とメモで「距離感の再現性」を可視化
近距離・中距離・ロングでフォームが変わっていないかを動画で確認。メモには「宣言:125F低め→結果:ショート3y・高さ不足」
のように差分一行だけ残します。翌回はこの差分を埋めるテーマから着手すれば、練習の質が跳ね上がります。
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多言語対応やゴルフ用語の呼び方の違いも学べるので、海外ラウンド前の距離感チューニングにも最適。
打席の練習と仮想ラウンドを往復させれば、実戦の引き出しが一気に増えます。
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ランダム距離練習は、意思決定の反復そのものです。次の練習から、まず20球だけで構いません。
毎球ターゲットを変え、宣言→実行→結果比較を続けましょう。距離感が“点”から“面”へと広がります。